車検の時期が近づくと、「ディーラーは高いと聞くし、近くのガソリンスタンドで受けたほうが安いのでは」と考える方は多いはずです。とはいえ、スタンドの車検はどこで整備しているのか、ちゃんと見てもらえるのかが分からないと、任せていいのか迷うものです。
私はガソリンスタンドの店長として、車検の受付から見積もり、整備の手配まで日々行っています。お客様から「これ、車検に通るかな?」と相談されることも少なくありません。
ここでは、スタンドの車検が安いと言われる理由と、頼むときの流れ、向かない車を、受付をする側の目線でお話しします。
- スタンドの車検は本当に安い?
- どこで整備しているの?
- 見積もりで何を見ればいい?
- 改造している車でも大丈夫?

スタンドの車検って安いけど、ちゃんと見てくれてるんか心配やねん。

どこの工場で整備・検査するのかを知っておくと、安心して頼めるよ。
スタンドの車検の安さ

ガソリンスタンドの車検は、ディーラーや町の整備工場に比べると、安く済むことが多いと私は感じています。ただし、車検の費用のうち、税金や保険にあたる部分はどこで受けても変わりません。差が出るのは、店の基本料金と、整備や部品の交換の部分です。安さだけで決めず、何が含まれているかを見て比べることが大事です。費用の考え方を3つに分けて説明します。
法定費用はどこでも同じ
車検の費用には、重量税・自賠責保険料・検査の印紙代という「法定費用」が含まれています。重量税と自賠責は、どこで車検を受けても同じ金額です。印紙代も、店によるわずかな違いしかありません。
安い・高いの差は、法定費用以外の部分で生まれます。法定費用の中身は、車検20万は買い替えどき?でくわしく書いています。
差が出るのは基本料金
店ごとに違うのは、点検や検査の手続きにかかる基本料金と、整備や部品交換の費用です。基本料金は、店によって呼び方も中身も違います。
比べるときは、法定費用を除いた金額と、その中に何が含まれているかを並べます。
安さより中身で比べる
基本料金が安くても、整備の費用が上乗せされて、結果的に高くなることもあります。反対に、基本料金が高めでも、点検の内容が手厚い店もあります。
最後は合計の金額と、何をしてくれるかで決めてください。
スタンドの車検の流れ

スタンドの車検も、流れはディーラーや整備工場と大きくは変わりません。私の店では、事前の見積もりから予約、当日の受付、整備、完成という順番で進めています。車を預けるあいだは代車を用意できるので、日々の運転に困ることは少なくて済みます。初めてスタンドに頼む方でも、流れが分かれば身構えずに済むはずです。順番に紹介します。
事前の見積もりと予約
まずは事前に見積もりを出し、予約を入れてもらいます。事前の見積もりがあると、おおよその費用が分かったうえで予約できます。
車検の満了日の少し前に、見積もりと予約を済ませておくと安心です。車検は満了日の2か月前から受けられます。くわしくは車検はいつから受けられる?でまとめています。
当日の受付と代車
車検の当日は、受付をして車を預かり、代車をお渡しします。そのあと実際の車を見て、見積もりを確定させます。
代車があるかどうかは店によって違うので、予約のときに確かめておきます。
整備と検査で完成
見積もりに納得してもらえたら、整備と検査を行い、完成したらお返しします。整備の途中で追加の修理が必要になったときは、作業の前にお客様に確認します。
勝手に修理を足されることはないので、気になることは遠慮なく聞いてください。
- 事前の見積もりと予約
- 当日の受付と代車
- 見積もりの確定
- 整備と検査で完成
整備する工場の違い

スタンドの車検で気になるのが、どこで整備や検査をしているのかです。実は、スタンドによってやり方が違います。自社の指定工場で整備から検査まで行う店もあれば、店で整備したあと、別の工場や運輸支局で検査を受ける店もあります。私の店は、自社の指定工場です。国が決めた2種類の工場の違いを知っておくと、頼む前に確かめやすくなります。
指定工場は店で検査まで
国土交通省によると、指定工場(民間車検場とも呼ばれます)は、点検整備のあと自動車検査員が検査を行い、保安基準に合っていることを証明する「保安基準適合証」を出せる工場です。これを出すと、運輸支局へ車を持ち込む必要がなくなります(国土交通省)。
指定工場なら、整備から検査までを1か所で終えられます。
認証工場は持ち込みで検査
認証工場は、整備はできますが、検査は運輸支局などの車検場に車を持ち込んで受けます。国土交通省も、認証工場に車検を頼んだ場合は、工場が車検場に車を持ち込んで検査を受けると説明しています。
スタンドによっては、店で整備をしたあと、自社や他社の指定工場、または運輸支局で検査を受けるやり方もあります。
頼む前に聞いておく
どこで整備と検査をするのかは、店に聞けば教えてもらえます。工場には、認証工場か指定工場かを示す標識が掲げられています。
「整備と検査はどこでしますか?」と一言聞くだけで、安心して任せられるかが分かります。

スタンドの裏で全部やってるんかと思ってたわ。店によって違うんやな。

そうなんだ。聞けばすぐ教えてもらえるから、遠慮なく聞いてね。
見積もりは必須とおすすめ

車検の費用が高く感じるのは、見積もりに整備や部品の交換がたくさん入っているときです。私の店では、交換が必要なものと、交換をおすすめするものを分けて説明するのが基本です。「必ず替えないといけないもの」と「替えたほうがいいもの」を分けて聞くと、見積もりの中身がぐっと分かりやすくなります。見積もりを作るまでの流れを紹介します。
まずは要望を聞く
見積もりを作る前に、まずお客様の要望や、気になっている箇所をお聞きします。「あと何年乗るつもりか」「予算はどのくらいか」なども、このときに伝えてもらえると助かります。
気になる音や不具合があれば、見積もりの前に伝えておくのがコツです。
必須とおすすめを分ける
次に実際の車を見て、「交換が必須の箇所」と「交換をおすすめする箇所」を分けて説明します。必須は車検に通すために直さないといけないもの、おすすめは今すぐでなくても、近いうちに替えたほうがいいものです。
おすすめの部分は、予算や乗る予定に合わせて、今回は見送ることもできます。
最終の見積もりを確認
説明に納得してもらったうえで、最終的な見積もりを作ります。必須とおすすめのどこまでを頼むかで、金額が変わります。
見積もりは、金額だけでなく、何をするのかの一覧で確かめます。車検で落ちやすい項目は、車検で落ちる項目と、前日までに自分で直せることでまとめています。
- 必須とおすすめの区別
- 今回見送れるもの
- 合計の金額と作業の一覧
スタンドに向かない車

多くの車は、スタンドの車検で問題ありません。ただ、特殊な車は、スタンドより専門の店に任せたほうがいい場合があります。改造しているスポーツカーや輸入車は、専門の店のほうが安心です。店頭では、改造した箇所を指して「これ、車検に通るかな?」と聞かれることもあります。向かない理由と、迷ったときの考え方を紹介します。
改造している車
車高を下げたり、マフラーやライトを替えたりしている車は、車検に通るかどうかの判断がむずかしくなります。店頭でも、改造した箇所を指して「これ、車検に通るかな?」とよく聞かれます。
改造している車は、その車に慣れた専門の店に相談するのが確実です。
工具が合わない輸入車
輸入車は、国産車と工具が合わないことがあります。整備の手順や、使う部品の決まりが違う車もあります。
輸入車は、その車を扱い慣れた専門店やディーラーに任せるのが安心です。
迷ったら予約前に相談
自分の車がスタンドで受けられるか迷ったら、予約の前に車種と気になる箇所を伝えて相談してください。受けられるかどうかを、先に教えてもらえます。
改造している箇所があるなら、見積もりの前に正直に伝えておきます。

これ車検通るかなって、つい聞きたなるわ。

予約の前に見せてもらえれば、通るかどうかを先に確かめられるよ。
スタンドで受ける良いところ

スタンドの車検のいちばんの良さは、身近なことです。ふだん給油に寄っている店で頼めるので、わざわざ遠くまで行かなくて済みます。年中無休や、朝早くから夜遅くまで開いている店もあり、仕事の都合に合わせて頼みやすいのも強みです。店によっては、車検を受けた人向けの特典を用意していることもあります。3つに分けて紹介します。
給油の店で頼める
いつも給油している店なら、店の人とも顔なじみで、気軽に相談しやすいものです。車検のあとの点検やオイル交換も、同じ店で続けて頼めます。
ふだんから通う店に任せると、車の状態を知ってもらいやすくなります。
営業時間が長い店も
スタンドの中には、年中無休の店や、朝早くから夜遅くまで営業している店があります。仕事の前や帰りに車を預けたり受け取ったりしやすいのが良いところです。
預けるときと受け取るときの時間を、予約のときに相談しておきます。
燃料割引などの特典
スタンドによっては、車検を受けた人に燃料の割引などの特典を用意しているところもあります。私の店にも、こうした特典があります。
特典の中身は店によって違うので、見積もりのときに聞いてみてください。
よくある質問
Q1. ガソリンスタンドの車検は本当に安いですか?
ディーラーや町の整備工場に比べると、安く済むことが多いと私は感じています。法定費用はどこでも同じなので、基本料金と整備の中身を並べて比べてください。
Q2. スタンドの車検はどこで整備していますか?
店によって違います。自社の指定工場で整備から検査まで行う店もあれば、店で整備したあと、別の指定工場や運輸支局で検査を受ける店もあります。予約のときに聞いてみてください。
Q3. 車検のあいだ代車は借りられますか?
私の店では代車を用意しています。代車があるかどうかは店によって違うので、予約のときに確かめておくと安心です。
Q4. 改造している車でも車検を受けられますか?
改造の内容によります。通るかどうかの判断がむずかしいことがあるので、予約の前に改造した箇所を伝えて相談してください。専門の店のほうが安心な場合もあります。
Q5. 見積もりのおすすめ整備は断ってもいいですか?
断ってかまいません。車検に通すために必須のものと、おすすめのものを分けて説明してもらい、予算や乗る予定に合わせて決めてください。
まとめ
ガソリンスタンドの車検は、ディーラーや町の整備工場に比べて安く済むことが多く、身近で頼みやすいのが良いところです。一方で、法定費用はどこでも同じで、差が出るのは基本料金と整備の部分です。どこで整備と検査をするのかを聞き、見積もりを「必須」と「おすすめ」に分けて確かめれば、安心して任せられます。
- 法定費用はどこでも同じ
- 差は基本料金と整備
- 整備と検査の場所を聞く
- 見積もりは必須とおすすめ
- 改造車・輸入車は専門店へ
車検の見積もりが高くて迷っているなら、乗り続けるか買い替えるかを先に考えておくと決めやすくなります。

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