車検の案内はがきが届いて、そろそろ予約しようと電話をしたら「その週はもう埋まっています」と言われた。店に立っていると、この話を毎年聞きます。
ここで知っておいてほしいことがあります。車検を受けられる期間は、2025年4月に延びました。いまは満了日の2か月前から受けられます。
店頭でこの話をすると、かなりの方が「そうなんですか」と驚かれます。制度が変わったこと自体、まだ届いていないんです。


えっ、車検って満了日の1か月前からちゃうかったん?ずっとそう思てたわ。

それが正しかったんだよ。2025年3月まではね。国が規則を変えて、いまは2か月前から受けられる。しかも早く受けても損はしない仕組みになっているんだ。
車検は満了日の2か月前から受けられます
2025年4月1日に道路運送車両法施行規則が改正されました。変わったのはここです。
| 受けられる期間 | |
|---|---|
| 2025年3月まで | 満了日の1か月前から満了日まで |
| 2025年4月から | 満了日の2か月前から満了日まで |
普通車も軽自動車も同じです。軽自動車検査協会も同じ日から対応しています。
満了日が2026年11月20日の車なら、9月20日から受けられるという計算になります。案内はがきが届くより前に、もう受けられる状態になっていることも多いです。
早く受けたら損をする? → しません
ここがいちばん多い誤解です。「早く出したら、その分だけ次の車検が早く来るんでしょう」と聞かれます。
来ません。次の満了日は、いまの満了日から2年後です。9月に受けても11月に受けても、次は2028年11月20日のままです。
難しい言い回しですが、意味は同じです。2か月前に受けても、残っている期間を捨てることにはならない。だから早く動いても不利になりません。
※この2か月ルールに合わせて、自賠責保険のほうの規則も同時に改正されています。保険が足りなくなる心配もありません。
自賠責保険についてもう少し詳しく知りたい方は、自賠責が11月から値上げされる話のほうで、契約の始まる日がどう決まるかを書いています。「早めに車検を受ければ旧料金で入れる」という話は成り立たないので、そこも合わせて読んでもらえると安心できます。
なぜ2か月に延びたのか
国土交通省が理由をはっきり書いています。
車検需要が年度末に集中しているため、この時期は、自動車ユーザーが整備や車検の予約が取りづらく、自動車整備士も残業・休日出勤に追われるという問題
国土交通省 報道発表資料より
つまり「予約が取れない」は、国が制度を変えるほど実在する問題だったということです。ユーザーが困っていて、整備する側も限界だった。その両方を緩めるために期間が延びました。
混むのは3月。その次が2月
スタンドに立っていると、3月が飛び抜けて多いのが分かります。次が2月。年度末に向かって一気に増えます。
なぜ3月なのか。新車がいちばん売れるのが3月だからです。3月に登録された車は、3年後・5年後・7年後の3月に満了日が来ます。それが毎年積み上がって、3月に山ができます。
おもしろいのはここからです。2か月前ルールができてから、1月の入庫が増えてきました。3月満了の車を1月から受けられるようになったので、動きの早い方が前に出てきているんです。制度が実際に効いています。
| 時期 | 店から見た混み具合 |
|---|---|
| 3月 | 飛び抜けて多い |
| 2月 | 多い |
| 1月 | 2か月前ルールで増えてきた |
| それ以外の月 | 落ち着いている |

ほな3月満了の人は、1月に動いたら空いてるってことやんな。

そういうこと。ただ、その1月も年々埋まり始めている。早い人はもう動いているからね。
予約が取れない本当の理由は、台数だけではありません
混雑の話をすると、たいてい「3月に車が集中するから」で終わります。もうひとつ、あまり語られない事情があります。
受け入れる側の枠そのものが、以前より減っています。
近隣のディーラーや整備工場から聞こえてくるのは、整備士が足りないという話です。加えて働き方改革で、以前のように休日出勤や残業で押し切ることができなくなりました。結果として、入庫を受けられる台数に上限ができています。実際に受付を止めている工場もあります。
車の台数が急に増えたわけではありません。整備できる人の数が減っているので、同じ台数でも詰まります。去年ぎりぎりで入れたお店が、今年も同じように入れてくれるとは限りません。
国土交通省が改正の理由に整備士の労働環境を挙げているのも、この話です。

いつ動けばいいか 満了日から逆算する
まず満了日を確認します。ここが少しややこしくなりました。車検証がカードに変わってから、券面に満了日が載らなくなったからです。
| 持っている車検証 | 満了日は載っているか |
|---|---|
| 紙の車検証(A4) | 載っている |
| 電子車検証(カード) 登録車は2023年1月〜/軽は2024年1月〜 | 載っていない |
カードに変わった方は、次の3つのどれかで分かります。
①フロントガラスの検査標章(ステッカー)の裏面
外から見える面には年月しか出ていませんが、車内から見上げると裏に満了日が書いてあります。車を降りずに確認できるので、これがいちばん早いです。
②「自動車検査証記録事項」という紙
車検のときにカードと一緒に渡されるA4の書類です。カードのICチップの中身を印刷したもので、ここに満了日が載っています。
③車検証閲覧アプリ
カードのICタグを読み取るアプリです。確実ですが、ここまでする方はあまりいません。
正直なところ、いちばん多いのはディーラーや整備工場から届く案内はがきや電話で知るという形です。それで足りているうちはいいのですが、案内が来るのは満了日が近づいてからです。混雑期に当たる方は、案内を待つ前に自分で見ておくほうが選べる日が増えます。
| 満了日 | 受けられるようになる日 | 動き出す目安 |
|---|---|---|
| 3月(混雑期) | 1月の同じ日 | 12月のうちに電話 |
| 2月(混雑期) | 12月の同じ日 | 11月のうちに電話 |
| それ以外の月 | 2か月前の同じ日 | 1か月前で間に合うことが多い |
混雑期に当たる方は、受けられる日より前に予約の電話を入れておくのが確実です。予約は受検日より先に取れます。枠を押さえてから、当日を待てばいい。
近所に行きつけがない、何軒か比べたいとき
車検の予約サイトを使う手もあります。近い順や料金順で比べて、そのまま予約まで進められます。混雑期は1軒に断られて終わりになりやすいので、候補を複数持っておくと動きやすいです。
予約の前に、自分で直せるところは直しておく
予約が取れたあとの話です。当日に不具合が見つかると、部品待ちで車を預ける日数が延びます。混雑期は代車も出払っているので、ここが地味に効きます。
自分で替えられて、しかも検査に関わるところを挙げます。
ワイパー
ガラスを拭いたときに筋が残る、ビビリ音がする、ゴムが切れている。この状態だと指摘されます。
ここで迷うのが、ゴムだけ替えればいいのか、ブレードごと替えるのかです。判断はそんなに難しくありません。
| 車の状態 | 替えるもの |
|---|---|
| ブレードにガタがない | ゴムだけでOK |
| ゴムを替えても拭きスジが残る ブレードにガタがある | ブレードごと交換 |
ガタというのは、ワイパーの金具を軽く動かしたときに関節がカタカタする状態です。ここが緩んでいると、ゴムをいくら新しくしてもガラスに均等に当たりません。だからゴムを替えたのにスジが消えないときは、原因はゴムではなくブレードのほうです。
メーカーで迷ったら、私が選んでいるのはNWBです。新車に最初から付いているワイパーがNWBという車種は多いので、同じものに戻すつもりで選べます。適合するサイズも探しやすいです。
ゴムだけ替える場合
交換の目安は半年から1年です。金具がしっかりしているなら、こちらで十分です。
ブレードごと替える場合
金具にガタが出ているとき、ゴムを新品にしてもスジが残るときは、こちらです。
交換の時期やサイズの調べ方は、ワイパーの交換時期をまとめた記事で詳しく書いています。
電球の球切れ
ブレーキランプ、ウインカー、ナンバー灯。ひとつでも切れていれば落ちます。ブレーキランプは自分では見えないので、壁の前で踏んで反射を見るか、誰かに見てもらうのが早いです。
ウォッシャー液
ちゃんと出るかどうかを見られます。空になっていたら補充しておきます。
発炎筒の有効期限
助手席の足元あたりに入っている赤い筒です。これには有効期限があり、切れていると指摘されます。車載が義務づけられているためです。
車検の見積もりで一緒に勧められることが多い部品ですが、これは検査に関係ありません。断っても車検は通ります。売る側の私が言うのも変ですが、匂いや風量が気にならないなら急ぐ必要はありません。気になるなら自分で替えられます。多くの車はグローブボックスの奥にあって、工具なしで数分です。
もうひとつ。三角表示板は車検とは関係ありません。あれは高速道路で停まったときに置く義務があるもので、発炎筒とは別の法律の別の道具です。
ほかに落ちやすい項目は、車検で落ちる項目と前日までに自分で直せることにまとめています。ヘッドライトの光量やタイヤの残り溝など、当日に慌てないための確認はそちらを見てください。
予約の電話で聞かれること
身構える必要はありません。手元に車検証があれば、たいてい5分で終わります。
- 車検証(車の名前・登録番号・満了日が全部載っています)
- だいたいの走行距離
- 希望日の候補を2つか3つ
- 代車が要るかどうか
- 気になっている症状(音がする、警告灯がついた、など)
最後の「気になっている症状」は、伝えておくと当日がスムーズです。部品を先に取り寄せておけるので、預かる日数が短くなります。
よくある質問
Q. 2か月前に受けたら、次の車検も2か月早く来ますか?
来ません。次の満了日は、いまの満了日の2年後です。早く受けた分が削られることはない、というのが2025年4月の改正の中身です。
Q. 軽自動車も2か月前からですか?
同じです。軽自動車検査協会も2025年4月1日から対応しています。維持費の全体像は軽自動車の年間維持費にまとめました。
Q. 満了日を過ぎてしまったら?
その車では公道を走れません。車検切れの状態で動かすと違反になりますし、自賠責も切れていれば罰則はさらに重くなります。積車で運ぶか、仮ナンバーを市区町村で取る必要があります。気づいた時点で、動かす前に相談してください。
Q. 満了日の直前しか空いていないと言われました
他の店にも聞いてみる価値があります。混み方は店ごとに違います。ガソリンスタンドや車検専門店は、ディーラーとは山の来かたが違うことが多いです。
まとめ
制度が変わったことを知っているだけで、選べる日が2倍になります。混む時期に当たる方ほど効いてきます。
- 2025年4月から、車検は満了日の2か月前から受けられる
- 早く受けても次の満了日は変わらない。損はしない
- 自賠責の規則も合わせて改正済み。保険が足りなくなる心配もない
- 混むのは3月、次が2月。1月も埋まり始めている
- 整備士不足で受け入れ枠が減っている。直前の駆け込みは通りにくい
- 混雑期の満了なら、受けられる日より前に電話で枠を押さえる
- ワイパー・球切れ・ウォッシャー液・発炎筒の期限は先に見ておく
- エアコンフィルターと三角表示板は検査項目ではない

店では2か月前から受けられることを、こちらから声をかけて伝えるようにしているよ。知らないまま直前になって困る方が多いからね。案内はがきが届く前でも、車検証さえあれば相談してもらって大丈夫だよ。

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