「ディスプレイに警告が出ているんだけど、これ何ですか」。給油に来たお客様から、この言葉を月に何度も聞きます。ほとんどの方は、マークの名前も意味もご存じありません。
タイヤの空気圧を知らせる警告灯です。放っておくと燃費が落ち、タイヤが早く終わり、最悪はパンクに気づかないまま走り続けることになります。
ただ、この記事でいちばん伝えたいのは、点いたときの対処ではありません。警告灯が点いていない車も、半分以上は空気圧が減っているという話です。私は毎日10台以上のタイヤを見ていますが、これは実感ではなく、数えた結果です。順に説明します。
- 警告灯が点いたときの手順
- 点滅と点灯で意味が違うこと
- 空気を入れても消えない理由
- 点く前に減っている車の割合
- 減ったまま走ると損すること

ビックリマークみたいなん点いてんねんけど、走ってええん?

まず停めてタイヤを見てほしい。パンクしたまま走るのがいちばんまずいんだ。

見た目で分かるもんなん?へこんでへんかったら大丈夫ちゃうん。
空気圧警告灯が点く理由

黄色いマークが点いても、何の警告か分からなければ動きようがありません。店でも「エンジンの故障ですか」と聞かれることがあります。このマークはエンジンとは関係がなく、タイヤの空気圧を知らせるものです。まずはマークの意味と、車がどうやって空気圧を見張っているのかを押さえておきましょう。ここが分かると、後の対処が理解しやすくなります。仕組みを知らずに対処だけ覚えても、消えないときに困ります。
点灯と点滅の違い
マークは、断面から見たタイヤの中に「!」が入った形をしています。車種によってはタイヤの絵だけのこともあります。
大事なのは、点いたままか、点滅するかです。トヨタは公式のよくある質問で、約1分間点滅したあとに点灯する場合はシステムの異常が考えられると説明しています。点灯だけなら空気圧不足、点滅してから点灯ならシステム側、という切り分けです。
- 点灯だけ:空気圧の不足
- 約1分点滅→点灯:システムの異常
空気圧の見張り方は2通り
車が空気圧を見張る方法は、大きく2つに分かれます。ひとつはタイヤの中にセンサーを入れて、圧力そのものを測る方式です。もうひとつは、4本のタイヤの回転の違いから見る方式になります。
空気が抜けたタイヤは少し小さくなるので、同じ距離を走るのに多く回ります。その差を拾って警告を出す仕組みです。ただしこの方式では、4本とも同じように減っていると差が出ません。回転差で見る車は、全部そろって減ったときに気づけないという弱点があります。
日本だけ義務ではない現状
そもそも、この警告灯が付いていない車もあります。店で見ていると、付いているのはレクサスなどの高級車と、輸入車が中心です。最近になって少し増えた印象はありますが、まだ全部ではありません。
理由は制度の違いにあります。アメリカは2007年、韓国は2013年、ヨーロッパは2014年11月から、新車への装着が義務づけられました。輸入車に付いているのは、その基準で作られているからです。日本には同じ義務がありません。国内の車で装備がまちまちなのは、そのためです。

ほな、うちの車に付いてへんのは壊れてるんちゃうくて、最初から無いだけなんや。
警告灯が点いたときの手順

警告灯が点いても、その場で慌てる必要はありません。急ブレーキを踏んだり、路肩に飛び込んだりするほうが危険です。ただし、やってはいけないことが1つだけあります。それを知らずに走り続けて、タイヤもホイールも駄目にしてしまった車を店で見たことがあります。修理で済んだはずの出費が、何倍にもなりました。ここではトヨタが公式に案内している手順に沿って、順番に説明します。他のメーカーの車でも、考え方は同じです。
まず停めてタイヤを見る
安全な場所に停めて、4本のタイヤを見てください。トヨタの案内では、停車してパンクしていないかを確かめることが最初の手順になっています。
釘が刺さっていないか、側面が切れていないか、あきらかにへこんでいないか。この3つを見るだけで十分です。1本だけ明らかに違うなら、その場で走るのをやめてください。残り3本と比べると分かりやすくなります。
パンクのまま走る危険
トヨタは公式に、こう書いています。パンクしたまま走行しないでください、短い距離でもタイヤとホイールが修理できないほど損傷したり、思わぬ事故につながる恐れがあり危険です、と。
これは大げさな表現ではありません。空気が抜けたタイヤは、車の重さでつぶれた状態のまま回り続けます。数キロ走っただけで、ホイールまで交換という話も珍しくありません。修理して済んだはずのタイヤが、部品ごと買い替えになります。

ちょっとくらいええやろ、で走ったら高うつくんやな。
冷えてから指定の値まで
見た目に異常がなければ、次は空気の補充です。トヨタの案内では、タイヤが十分に冷えてから指定空気圧の値まで補充する、とされています。走った直後のタイヤは温まって圧力が上がっているため、その状態で合わせると足りなくなります。
指定空気圧は、運転席側のドア付近に貼ってあるラベルで確認できます。ここで注意が必要です。日本自動車タイヤ協会の資料では、同じ車種でも年式や型式、タイヤサイズによって指定空気圧が違う場合があると示されています。同資料に載っている例では、あるミニバンの平成24年式が280kPa、平成19年式が230kPaでした。ネットで調べた数字ではなく、自分の車のラベルを見てください。
点く前から減っている車

ここがこの記事でいちばん伝えたい部分です。警告灯は、空気圧がかなり減ってからでないと点きません。では点いていない車は大丈夫なのかというと、そうではありません。警告灯は、適正かどうかを保証してくれる装置ではないのです。公的な調査の数字と、私が店で毎日見ている景色が、驚くほど一致しています。13年の開きがある2つの数字を並べてみます。どちらも推測ではなく、実際に数えた結果です。
110台中52台という調査
日本自動車タイヤ協会が2013年11月6日、東名高速道路の浜名湖サービスエリアでタイヤ点検を実施しました。その結果が資料に載っています。
乗用車110台のうち52台、47.3%が車両指定空気圧よりも不足していました。高速道路を走っている最中の車です。長距離を走る前に点検している人が多いはずの場所で、約半数が足りていませんでした。
毎日10台以上を見た結果
私の店では、空気圧を見てほしいという依頼が毎日何件も入ります。加えて、オイル交換でピットに入った車は、頼まれなくても全台のタイヤを見ています。合わせると毎日10台以上です。
そのうち、半分以上の車は空気圧が減っています。これが2026年の、ごく普通の街のガソリンスタンドの景色です。2013年の高速道路と、13年後の街中で、同じ結果が出ています。
- 2013年 高速道路:110台中52台
- 2026年 うちの店:毎日10台超の半分以上
1か月で5〜10%減る
なぜこれほど多いのか。答えは単純で、空気は勝手に抜けていくからです。ダンロップは公式サイトで、タイヤの分子構造よりも空気の分子が細かいため自然と抜けてしまう、と説明しています。穴が開いていなくても減ります。
量も分かっています。日本自動車タイヤ協会の資料によると、乗用車用タイヤで1か月におおむね5〜10%、10〜20kPaが低下します。同資料のグラフでは、195/65R15のタイヤを220kPaにした状態から、40日で約170kPaまで下がっていました。
| 経過 | 空気圧の目安 |
|---|---|
| 入れた直後 | 220kPa |
| 40日後 | 約170kPa |
※日本自動車タイヤ協会の資料に掲載されたグラフより(タイヤサイズ195/65R15)
入れっぱなしで1年放置すれば、どうなるかは想像がつきます。半分以上の車が減っているのは、ずぼらだからではありません。何もしなければ減るのが普通だからです。
警告灯が消えない原因

空気を入れたのに警告灯が消えない、という相談も店で受けます。入れ方が間違っているのではないかと不安になる方が多いのですが、たいていは入れ方ではなく別の理由です。消えないときに考えられることは、大きく3つあります。順に確かめていけば、たいていはどれかに行き当たるはずです。自分でできるところと、店に任せたほうがいいところを分けて説明します。
リセットが必要な車
空気を入れただけでは消えず、車に「入れ直したよ」と教える操作が必要な車があります。トヨタはこの初期化について、公式のよくある質問で別に案内を出しています。
操作の方法は車種によって違います。シフトをPに入れてエンジンをかけた状態で専用のボタンを押す形が多いのですが、ボタンの位置も押す時間も車種ごとに異なります。取扱説明書で自分の車の手順を確認してください。ここはネットの情報を当てにしないほうが確実です。
センサーの電池切れ
タイヤの中にセンサーが入っている方式の車では、センサー自体に電池が入っています。この電池が切れかけると、空気圧が正常でも警告が出ることがあります。
電池だけを交換できない構造のものが多く、その場合はセンサーごとの交換になります。何年も乗っている車で、空気圧に問題がないのに消えないなら、この可能性があります。
それでも消えないとき
空気圧を合わせ、リセットもして、それでも消えない。この状態なら、自分でできることは終わりです。ディーラーか整備工場、行きつけのガソリンスタンドに見せてください。
もうひとつ、見落としがちな原因があります。外径の違うタイヤに替えた場合です。回転差で見る方式の車では、サイズの違うタイヤを履くと差が出て警告が出ることがあります。タイヤを替えた直後から消えないなら、サイズを確認してください。

消えないまま乗っている人は多いよ。警告灯が意味をなさなくなるから、そこは直しておきたい。
空気圧不足で起きること

警告灯が点くほどでもない、少し減っただけの状態。これが一番やっかいです。乗っていて違和感がなく、見た目でも分かりません。その間に、燃料代とタイヤ代が静かに増えていきます。痛みを感じないまま出ていくお金なので、気づいたときには何年分にもなっています。ここは感覚の話ではなく、試験で数字が出ている部分です。どれくらい損をしているのかを、具体的に見てみましょう。
燃費への影響
日本自動車タイヤ協会の資料に、省エネルギーセンターの試験結果が載っています。適正な空気圧より50kPa不足した状態で、燃費がどれだけ悪化するかを測ったものです。
| 走り方 | 燃費の悪化 |
|---|---|
| 市街地 | 2.5% |
| 郊外 | 4.3% |
| 高速道路 | 4.8% |
※出典:一般財団法人省エネルギーセンター(日本自動車タイヤ協会の資料より)。2000ccの乗用車を使用し実験室で測定。走行速度は市街地15km/h、郊外38km/h、高速道路78km/h
同じ資料では、これを分かりやすく言い換えています。1リットルあたり4円から7円高いガソリンを入れているのと同じ、という表現です。毎回の給油で数十円、年間では無視できない額になります。
タイヤが早く終わる
空気が足りないタイヤは、車の重さでたわみます。ブリヂストンは公式サイトで、空気圧が不足した状態で走行するとタイヤは大きく変形し、地面に押し付けられることで摩耗しやすくなり、その結果タイヤ寿命が縮む、と説明しています。
減り方にも特徴が出ます。日本自動車タイヤ協会の資料では、空気圧不足による偏った摩耗の例として「両肩摩耗」が写真つきで示されています。タイヤの真ん中は残っているのに、両端だけが減っていく状態です。
店で見ていると、この減り方をしている車は本当に多いです。お客様は気づいていません。真ん中に溝が残っているので、まだ使えると思ってしまいます。
気づかないパンク
意外に思われるかもしれませんが、走行中に突然破裂するバーストは、店で見る限りそれほど多くありません。多いのは、ゆっくり空気が抜けていくタイプです。
釘が刺さったまま、少しずつ抜けている車が実際にあります。本人はパンクに気づいていません。給油に来たときにこちらが見つけて伝える、という場面が年に何度かあります。刺さったものが栓の代わりになっていて、一気に抜けないためです。

刺さったまま気づかんと走ってる人おるんや。こわいな。
空気圧を見張る3つの方法

ここまでの話をまとめると、やることは1つです。減る前に入れる。それだけで燃費もタイヤも守れます。問題は、どうやって続けるかです。月に一度と決めても、忘れるのが普通です。私も仕事でなければ忘れている自信があります。続け方には3つの選択肢があり、それぞれ向き不向きがあります。手間と費用が違うので、自分に合うものを選んでください。
月に一度の自己点検
基本はこれです。ブリヂストンもダンロップも、公式サイトで月に一度の点検をすすめています。ダンロップは、最低でも1か月に1度は空気圧を点検してください、と書いています。
測るときのコツは1つだけです。走る前の冷えている状態で測ってください。日本自動車タイヤ協会の資料にも、走行によって暖まる前に調整するようにと書かれています。見た目では分かりません。必ずエアゲージで測ってください。同資料でもその点が強調されています。
給油のついでに頼む
自分で測る道具を持っていない方には、こちらをすすめています。ガソリンスタンドで「空気圧見てください」と言えば、たいていの店は見てくれます。給油のついでなら手間もかかりません。
店側からの本音を書いておきます。頼まれるほうが、こちらとしてもありがたいです。減ったまま走られて後で困るより、その場で入れてもらったほうがいい。遠慮する必要はまったくありません。月に一度、給油のときに声をかけてもらえれば、それで十分です。
常に見張る機械を使う
それでも続かない、という方には、常時監視する装置があります。タイヤのバルブに取り付けて、空気圧をスマホや小型モニターに表示するものです。TPMSと呼ばれています。
正直に書いておくと、私自身は付けていません。自分で定期的に見ているからです。ただ、それは毎日タイヤを見る仕事だからできることで、誰にでもすすめられる方法ではありません。日本では装着が義務ではない以上、警告灯そのものが付いていない車もあります。そういう車で確実に把握したいなら、後付けする価値はあります。
よくある質問
Q1 何%減ったら点きますか?
メーカーは公表していません。車種によって設定が違うため、一律の数字が出せないのが実情です。トヨタの公式案内にも、何%で点灯するかは書かれていません。
だからこそ、警告灯を点検の代わりにしないでください。点いていないことは、適正であることの証明になりません。
Q2 空気を入れても消えません
リセットの操作が必要な車があります。取扱説明書で自分の車の手順を確認してください。それでも消えない場合は、センサーの電池切れか故障、あるいはタイヤのサイズ変更が考えられます。店かディーラーで見てもらってください。
Q3 見た目で分かりませんか?
分かりません。日本自動車タイヤ協会の資料でも、見た目ではわかりづらいため必ずエアゲージ等で点検するように書かれています。同資料には、標準空気圧のタイヤと、その70%まで減ったタイヤの写真が並べて載っていますが、ぱっと見ではほとんど違いません。
店でも「へこんでいないから大丈夫」と言われることがありますが、はっきりへこんで見えるときは、かなり減っています。
Q4 冬に点きやすいのはなぜ?
気温が下がると、タイヤの中の空気も縮んで圧力が下がるためです。空気に限らず、気体は冷えると体積が小さくなります。夏に入れたままの状態で冬を迎えると、自然に減る分と気温の分が重なります。
寒くなってきた時期に警告灯が点く車が増えるのは、このためです。季節の変わり目は、入れ直す合図だと思ってください。
Q5 スタンドの空気は有料?
店によります。給油をした方には無料で対応している店が多く、うちの店でも料金はいただいていません。セルフの店では、空気入れが置いてあって自由に使える形になっていることもあります。
使い方が分からなければ、スタッフに声をかけてください。日本自動車タイヤ協会も、点検や補充で不安な点があれば最寄りのタイヤ販売店やガソリンスタンドに相談するよう案内しています。
まとめ
警告灯が点いたら、まず停めてタイヤを見る。パンクしたまま走らない。ここだけは守ってください。ただ、この記事で本当に伝えたかったのは、点いていない車も半分以上は減っているということです。
- 点滅してから点灯はシステム異常
- パンクのまま走ると部品ごと交換
- 空気圧は1か月で5〜10%減る
- 50kPa不足で燃費は最大4.8%悪化
- 見た目では分からない。測るだけ
次の給油のとき、「空気圧見てください」と言ってみてください。1分で終わります。頼まれて嫌がる店員はいません。それだけで、燃料代も、タイヤの寿命も、変わってきます。自分で管理するのが難しいと感じるなら、常に見張ってくれる装置を使う手もあります。

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