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車の暖房で燃費は悪くなる?【トヨタの取扱書で確認しました】

冬の朝の車内。ダッシュボードの送風口から暖かい空気が出ていて、窓の外は雪景色。暖房で燃費は悪くなるのか、落ちるのはハイブリッドだけ、という記事のアイキャッチ 保険・カーライフ

寒くなってくると、給油に来たお客様からこう言われることがあります。「プリウスは暖房の時期、燃費が悪いんよ」と。

ところが、燃費の記事を読むと「車の暖房はエンジンの余った熱を使うだけなので、燃費には影響しません」と書いてあります。どちらが正しいのか、分からなくなりますよね。

結論を先に言うと、どちらも正しいです。ガソリン車なら、暖房をつけても燃費はほとんど変わりません。でもハイブリッド車は、本当に落ちます。しかもそれは、トヨタが取扱書にはっきり書いていることです。なぜ車によって答えが変わるのか、毎日給油の店に立っている立場から整理します。

こんなふうに思っていませんか
  • 暖房をつけると燃費が悪くなりそう
  • 冬だけ燃費が落ちる理由が分からない
  • A/Cボタンは冬は切るもの
  • 暖機運転が必要かどうか迷う
テト
テト

冬になったら燃費落ちるやん。あれ、暖房のせいちゃうん?

テンチョー
テンチョー

それが、車によるんだ。ガソリン車なら暖房はほとんど関係ないよ。

ノア
ノア

ほな、うちの燃費が落ちてる原因は別にあるんか。気になるわ。

\ 自分の車はどっち? /
先に早見表を見る

暖房で燃費が落ちる車

暖房で燃費が落ちるのはどの車か。ガソリン車は信号待ちでもエンジンが回っていて影響はほぼなし、ハイブリッド車は信号待ちでエンジンが静かに止まり燃費は落ちる、電気自動車はエンジンがなく燃費は落ちる

暖房で燃費が落ちるかどうかは、車の種類で変わります。ガソリン車は落ちません。ハイブリッド車と電気自動車は落ちます。理由は、同じ「暖房」でも、熱をどこから持ってくるかが違うからです。ガソリン車が使うのは、走っていれば勝手に出てくる熱。ハイブリッド車は、その熱を作るためにエンジンをわざわざ動かすことがあります。電気自動車にはエンジンがないので、暖めるのは電気の役目です。ここさえ押さえれば、冬の燃費の話はほとんど解けます。

車の種類暖房で燃費は落ちる熱をどこから取るか
ガソリン車ほぼ落ちないエンジンの余った熱をそのまま使う
ハイブリッド車落ちる熱を作るためにエンジンが動く
電気自動車落ちる電気を使って暖める
\ 1分で読める /
A/Cを切ると窓が曇る話

影響のないガソリン車

ガソリン車の暖房は、エンジンが出す熱のうち、使いきれずに捨てている分を回しているだけです。暖房をつけても、そのぶん燃料が増えるわけではありません。

エンジンは、ガソリンの持っているエネルギーのうち、車を動かすことに使えるのは一部だけです。残りは熱になって外へ逃げていきます。その熱で冷却水が温まり、温まった冷却水の熱を車内に送るのが暖房の仕組みです。つまり、捨てるはずだったものを拾っているだけ。だから燃料は増えません。

燃費が落ちるハイブリッド車

ハイブリッド車は事情が違います。エンジンを止めて走れるのが持ち味なのに、暖房を使うとエンジンが止まらなくなるからです。

暖房に使う熱は、ガソリン車と同じくエンジンの冷却水から取ります。ところがハイブリッド車は、モーターだけで走っている間はエンジンが止まっています。止まったままだと冷却水が冷めてしまい、暖かい風が出ません。そこで車は、暖房のためにエンジンを動かします。お客様が言う「プリウスは暖房の時期は燃費が悪い」は、この現象を指しています。

自分の車がどれか分からないとき

見分け方はかんたんです。停車中にエンジンが静かに止まる車なら、ハイブリッド車と考えて構いません。

信号待ちで振動と音が消え、青信号でまた動き出す。あの動きがあればハイブリッド車です。似た動きにアイドリングストップがありますが、こちらはガソリン車の機能なので、暖房の話は当てはまりません。車検証の「燃料の種類」の欄や、車名に「HV」「e:HEV」「ハイブリッド」と入っているかでも判断できます。

ガソリン車の暖房の仕組み

ガソリン車の暖房は捨てている熱を使う仕組み。エンジンがガソリンを燃やして熱が出て、冷却水が捨てるはずの熱を受け取り、ファンが温風を車内へ送り出す。暖房のために燃料は増えない

もう少しだけ、ガソリン車の話を続けます。ここを分かっておくと、次のハイブリッドの話がすっと入ってくるからです。暖房と、A/Cボタンは別のものです。この2つを同じものだと思っていると、冬の車内で損をします。暖房はタダで使える熱、A/Cは電気とガソリンを使う機械。役割がまったく違います。混同したまま冬を過ごすと、燃費が良くなるどころか、窓が曇って危ない思いをすることもあります。

捨てている熱の再利用

くり返しになりますが、ガソリン車の暖房は追加の燃料をほとんど使いません。

使うのは、温風を送り出すファンを回すための電気だけ。その電気も、走っていれば発電機が作るもの。だから「暖房をつけたから燃費が落ちた」という体感があったとしても、原因は暖房そのものではなく、別のところにあります。その正体は後半で扱います。

A/Cボタンは別もの

A/Cボタンが動かしているのは、空気を冷やして湿気を取る機械(コンプレッサー)です。暖房とは別系統で動きます。

このコンプレッサーはエンジンの力を借りて回るので、入れれば燃料を使います。冬にA/Cを入れる意味は、涼しくするためではありません。空気から湿気を抜くためです。乾いた空気を窓に当てると、曇りが速く消えます。

設定温度と燃料の関係

設定温度を25度から28度に上げても、ガソリン車なら燃料の減り方はほとんど変わりません。

もともと余っている熱をどれだけ車内に送るか、という調整をしているだけだからです。一方、ハイブリッド車では話が変わります。設定温度を上げるほど、エンジンが動く時間が延びるためです。トヨタも取扱書で「過剰な暖房を避けると、燃費向上につながります」と案内しています。

ハイブリッドの暖房と燃費

ハイブリッド車のメーターに表示されたエネルギーの流れ。暖房のためにエンジンが止まらなくなり動き続ける

ここがこの記事の本題です。ハイブリッド車が冬に燃費を落とすのは、気のせいではありません。メーカー自身が、そうなると書いています。ネット上の記事の多くは「暖房は排熱を使うから燃費に影響しない」で止まっていますが、それはガソリン車の話です。ハイブリッド車の取扱書を読むと、まったく別のことが書かれています。ここを知っているかどうかで、冬の運転の納得感がずいぶん変わります。

エンジンが動き続ける理由

ハイブリッド車が燃費を稼ぐ場面は、エンジンを止めてモーターだけで走っているときです。冬の暖房は、この時間を削ります。

暖かい風を出し続けるには、冷却水を温かいまま保たなければなりません。そのためにエンジンが動きます。夏は止まっている場面でも、冬は動いたまま。ハイブリッド車の燃費が冬に落ちるのは、この差が積み重なるからです。

トヨタが書いていること

推測で書いている話ではありません。トヨタの取扱書にある一文が、これです。

トヨタ 取扱書「ハイブリッド車運転のアドバイス」より

冬季:ガソリンエンジン・車室内が暖まるまで、ガソリンエンジンが自動停止しないので、燃料を消費します。また、過剰な暖房を避けると、燃費向上につながります。

出典はトヨタ カローラクロス ハイブリッドの取扱書です。メーカーが「燃料を消費します」と明記している以上、お客様の実感のほうが正しかったことになります。

短い距離ほど不利

同じハイブリッド車でも、乗り方によって冬の落ち込み方は変わります。不利なのは短い距離のくり返しです。

暖房のためにエンジンが動くのは、車が冷えている間です。温まってしまえば、エンジンは止まれるようになります。つまり、長く走るほど不利な時間の割合は減ります。逆に、10分乗って降りる。また30分後に10分乗る。この乗り方だと、毎回いちばん燃料を使う時間だけを走ることになります。

冬にA/Cを切る人が多い話

冬の朝、曇った窓の車内でエアコンのボタンに手を伸ばす様子。冬もA/Cは入れていい、切ると窓が曇る

ここからは現場の話をします。店に立っていて感じるのは、冬にA/Cボタンを切っている人が、とても多いということです。理由を聞くと、たいてい同じ答えが返ってきます。「エアコンをつけると燃費が悪くなるから」。家のエアコンと同じ感覚なのだと思います。無理もありません。ただ、車のA/Cは家のエアコンと役割が違うので、冬に切りっぱなしにすると別の困りごとが出てきます。

家のエアコンとの混同

家のエアコンは、暖房も冷房も同じ機械が作り出すもの。だから「エアコン=電気代がかかるもの」という感覚が、そのまま車にも持ち込まれます。

車は違います。暖房は捨てている熱、A/Cは機械。この2つが別々に動いています。A/Cを切っても暖かい風は出ますし、A/Cを入れても暖房が弱くなるわけではありません。

A/Cを切ったときの曇り

困るのはここです。A/Cを切ったままだと、冬の朝に窓が曇って消えません。

曇りの正体は、車内の湿気が冷たいガラスで水になったものです。A/Cは空気から湿気を抜く機械なので、入れたほうが速く消えます。曇ったまま走り出すのは、燃費どうこう以前に危ない。詳しい手順は別の記事にまとめました。

冬のA/Cの使いどころ

結論としては、冬もA/Cは入れたままで構いません。燃料は使いますが、それに見合う働きをします。

気になるなら、窓が曇っていないときだけ切る、という使い方でも十分です。多くの車はデフロスター(前の窓に風を送るボタン)を押すと、A/Cが自動で入ります。切ったつもりでも入っている場面はあるので、神経質になる必要はありません。

必要のない暖機運転

霜が降りた冬の早朝、駐車場で白い排気を出しながら停まっている車。暖機運転は必要ないが、窓が凍った朝は別

冬の燃費の話で、暖房と並んでよく出るのが暖機運転です。寒い朝、エンジンをかけてしばらく置いておく。あれをしている方は、今も見かけます。ただ、今の車に、燃費のための暖機運転は必要ありません。これもメーカーが取扱書に書いています。むしろ、止まったままエンジンを回している時間は、1キロも進まずに燃料だけを使っている時間です。とはいえ、暖機がまったく無意味かというと、そうでもありません。

今の車に不要な暖機

トヨタの取扱書には、「暖機運転は必要ありません」とはっきり書かれています。

ガソリンエンジンが冷えているときは、ガソリンエンジンの始動/停止を自動的に行いますので、暖機運転は必要ありません。

昔の車はエンジンが温まるまで調子が出ませんでしたが、今の車は電子制御で冷えた状態にも対応します。走り出しながら温めるほうが、結果として速い。

それでも私が暖機する日

正直に書きます。私も、窓が凍った朝はエンジンをかけたまま待ちます。

もっとも、目的は燃費ではありません。前が見えないまま走り出さないためです。氷が解けるまでの数分は、安全のために必要な時間だと考えています。燃費のための暖機は不要、視界を確保するための待ち時間は必要。同じ「エンジンをかけて待つ」でも、中身はまったく違います。

短距離のくり返し

冬の燃費にいちばん効いてくるのは、短い距離を何度もくり返す乗り方です。

トヨタの取扱書にも「短距離走行のくり返しは、暖機運転のためのガソリンエンジン始動がひんぱんに行われることになりますので、燃費の悪化につながります」とあります。買い物、送り迎え、また買い物。冬にこの乗り方をすると、車が温まりきる前に毎回エンジンを切ることになります。

冬に燃費が落ちる本当の原因

冬に燃費が落ちる原因の仕分け。犯人ではないのはガソリン車の暖房とA/Cを切ることと設定温度、本当の原因はエンジンが温まるまでの時間と冬タイヤの転がり抵抗と短距離のくり返しと空気圧の不足

ここまで読んで、ガソリン車に乗っている方はこう思うはずです。暖房が原因でないなら、なぜ冬になると燃費が落ちるのかと。原因は暖房ではなく、冬という季節そのものにあります。燃費の相談を受けたとき、私がまず見るのはタイヤとエンジンの調子です。そして冬に限って言えば、それ以外にも季節特有の理由がいくつか重なります。順に見ていきましょう。

冬タイヤの転がり抵抗

スタッドレスタイヤに替えると、乾いた路面では燃費が落ちます。柔らかいゴムで路面をつかむぶん、転がる抵抗が大きくなるからです。

ここは、はっきりさせておきます。私の住んでいる地域は雪がほとんど降らないので、自分でスタッドレスを履いた経験がありません。実感として語れる立場ではないので、メーカーの記述を引きます。トヨタの取扱書には「冬用タイヤは転がり抵抗が大きいため、乾燥した路面では燃費の悪化につながります」とあります。雪の上では必要な性能が、乾いた道では燃費の足を引っ張る、ということです。

空気圧は現場では別の話

空気圧が足りないと燃費が落ちる。これは季節に関係なく本当で、メーカーも同じことを書いています。

ただ、ここでもうひとつ付け加えます。「冬は気温が下がって空気圧も下がるから注意」とよく言われますが、店に立っていて冬に空気圧の相談が増える実感はありません。相談が増えるのは、季節よりも長距離を走る前です。冬だから慌てて見る、という話ではなく、月に1回くらいの習慣にしておけば十分だと考えています。

暖まるまでの時間

見落とされがちですが、エンジンが温まるまでの時間は、冬のほうがずっと長いのです。

冷えた状態のエンジンは、燃料を濃いめに使います。外気温が低いほど、その時間が延びる。ガソリン車で「冬だけ燃費が落ちる」と感じる理由の多くは、暖房ではなくこれです。オイルが冷えて硬くなっていることも重なります。つまり犯人は暖房ではなく、寒さそのものでした。

よくある質問

Q1. 車の暖房は燃費に影響しますか?

ガソリン車ならほとんど影響しません。エンジンが出す余分な熱を使っているだけだからです。ハイブリッド車と電気自動車は影響します。ハイブリッド車は暖房のためにエンジンが動き、電気自動車は電気を使って暖めるためです。

Q2. 車の暖房はA/Cを使わない方がいいですか?

燃費だけを見ればA/Cは切ったほうが有利です。ただし窓が曇りやすくなります。安全とのバランスを考えると、曇っているときは迷わず入れる、という使い分けをおすすめします。

Q3. 車の暖房とA/Cはどっちにするべき?

どちらか一方を選ぶものではありません。暖房で温め、A/Cで湿気を取る。役割が違うので、両方を同時に使えます。冬にA/Cを入れるのは、冷やすためではなく曇りを取るためです。

Q4. 夏と冬どっちが燃費が悪い?

一般には冬のほうが不利になりやすいと言われます。夏はA/Cのコンプレッサーが燃料を使いますが、冬はエンジンが温まるまでの時間が長く、スタッドレスに替えていれば転がり抵抗も増えるためです。どちらが悪いかは乗り方と地域で変わるので、ご自分の燃費の記録で比べてみてください。

Q5. 暖機運転は何分すればいいですか?

燃費のためであれば、暖機運転そのものが不要です。トヨタの取扱書にも「暖機運転は必要ありません」と書かれています。窓が凍っているときだけは例外で、視界が確保できるまで待ってください。

Q6. ハイブリッド車は暖房を我慢すべき?

我慢する必要はありません。ただ、設定温度を必要以上に上げないほうが有利にはなります。トヨタも「過剰な暖房を避けると、燃費向上につながります」と案内しています。寒さを我慢してまで削る話ではなく、つけっぱなしで熱くなりすぎたら下げる、という程度で十分です。

まとめ

「暖房で燃費が悪くなる」という話は、ガソリン車では誤解、ハイブリッド車では事実でした。どちらか一方だけを読むと話が噛み合わないのは、そのためです。

この記事の要点
  • ガソリン車の暖房は捨てている熱
  • ハイブリッド車は暖房でエンジンが動く
  • A/Cは曇りを取る機械
  • 燃費のための暖機運転は不要
  • 冬の犯人は寒さと冬タイヤ

この冬にできることは、そう多くありません。暖房は我慢せず、A/Cは曇ったら入れる。暖機の代わりに、ゆっくり走り出す。それだけで十分です。そのうえで、もう一段よくしたい方は、運転の仕方を見直すと効きます。私自身が3か月試して、燃費を2割ほど改善した方法をまとめた記事があるので、続けて読んでみてください。

\ 店長が3か月試した結果つき /
燃費を良くする運転術10選を読む

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